空き家のリスク(防犯)

空き家問題と防犯リスク


日本では少子高齢化や人口減少に伴い、空き家の数が年々増加しています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は848万9千戸に達し、総住宅数に占める割合は13.6%と過去最高を記録しています。空き家の増加は、防犯上のリスクを高める要因となっており、放置された空き家が犯罪の温床になるケースも少なくありません。本記事では、空き家における防犯リスクを具体的な数値を交えて解説し、対策について提案します。


空き家における防犯リスクの現状


1. 放火のリスク
空き家は人目につきにくいため、放火のターゲットになりやすいとされています。放火は日本国内の火災原因の中でも上位を占めており、令和4年のデータでは、放火と断定された火災が2,242件、放火の疑いがあるものを含めると3,710件に上ります。空き家はゴミや枯草が放置されていることが多く、これが火災を誘発する要因となることもあります。
2. 不法侵入と窃盗
空き家は不法侵入や窃盗の標的にもなりやすいです。警察庁の統計によると、侵入窃盗の約56.7%が窓からの侵入で発生しており、空き家のように防犯対策が不十分な物件は特に狙われやすい傾向があります。また、空き家に置かれた家財道具や設備(エアコンの室外機など)が盗まれるケースも報告されています。
3. 不法占拠と犯罪利用
防犯対策がされていない空き家は、不法占拠されるリスクも高まります。不法占拠された空き家が麻薬取引や違法商品の保管場所として利用された事例もあり、地域の治安に深刻な影響を及ぼす可能性があります。


空き家が狙われやすい理由


空き家が犯罪者にとって魅力的なターゲットとなる理由には以下のような特徴があります:
人通りが少ない場所にある:人目につきにくい空き家は侵入されやすい。
管理が行き届いていない:郵便物が溜まっている、庭が荒れているなど、放置されていることが明らかな空き家は狙われやすい。
防犯設備がない:防犯カメラやセンサーライトが設置されていない空き家は犯罪者にとって侵入しやすい環境です。


空き家の防犯リスクを軽減するための対策


空き家の防犯リスクを軽減するためには、以下のような対策が有効です:
1. 定期的な管理
定期的に空き家を訪問し、郵便物の回収や庭の手入れを行うことで、人が出入りしている印象を与えます。
2. 防犯設備の導入
防犯カメラやセンサーライトを設置することで、不審者の侵入を抑止できます。これらの設備は数千円から設置可能で、コストパフォーマンスが高い対策です。
3. 窓やドアの強化
窓に防犯フィルムを貼る、補助鍵を設置するなど、侵入に時間がかかる仕組みを作ることで犯罪を防ぎます。
4. 地域との連携
近隣住民とコミュニケーションを取り、不審な動きがあればすぐに報告してもらえる体制を整えます。
5. 空き家の活用
空き家を賃貸物件やシェアハウスとして活用することで、管理の手間を減らし、犯罪リスクを根本的に解消できます。

放置はキケン!


空き家は防犯対策が不十分な場合、放火、不法侵入、窃盗、不法占拠などのリスクが高まります。令和5年の調査では、空き家の数が848万9千戸に達しており、適切な管理が求められています。防犯設備の導入や定期的な管理、地域との連携を通じて、空き家の防犯リスクを軽減することが可能です。
空き家を所有している方は、これらの対策を積極的に取り入れ、空き家問題の解決に向けた一歩を踏み出しましょう。