こんにちは。「Sketch」ブログ担当のライター、カジヤマシオリです。

今回も、引き続き「一宮市三岸節子記念美術館」を紹介します。前編はこちら↓

一宮市三岸節子記念美術館《前編「白い花が好きだけど、描くのは難しい」》

アトリエを再現した「土蔵展示室」へ

 

美術館の常設展で、三岸節子の作品をめいっぱい満喫したあとは…

この案内を目印にして、美術館に隣接した「土蔵展示室」へ。

 

実は美術館の建物自体が、節子本人の生家跡に築いたものです。

そこにあった土蔵は、移築・改修して土蔵展示室に。

 

 

作品そのものではなく、ここでは節子自身を紐解くようなものがずらり。

学生時代から晩年にかけて撮影した肖像パネルや、愛蔵品の展示がメインです。

室内には、生家の土蔵として建てられた当時の面影を感じる、太くてりりしい梁が残されていました。

 

 

奥へ行くと、生前のアトリエの様子を再現した展示が。

節子の遺品を軸にした、とても興味深い展示でした。

 

パワフルに、かつ真剣にカンバスと向かっている姿が思い浮かぶようです。

 

ハイカラなおばあちゃん

 

土蔵展示室を見学したあと、私がまっさきに感じたのは…

三岸節子は「ハイカラなおばあちゃん」だなあと。

再現したアトリエには、エジプトや中国の工芸品、華やかなインテリアがつまっていました。

花が好きだったこともあってか、壺や花瓶が遺品として多く残っています。

戦中・戦後に、こんな生活をしていた女性はそうそういないでしょう。自分の感性や興味に正直だったからこそ、のびのびと色彩を操ることができたのかもしれません。

 

 

1階展示室に戻って、もういちど作品を鑑賞してみる。

すると、より作品に引き込まれたような気がしました。

どういう思いをカンバスにぶつけたのか、なぜこんな色彩にしたのか…はっきりした答えは節子本人にしかわかりません。

でも、作品との対話がもっと楽しくなったような気がします。

 

作品から感じた、底知れぬエネルギー

 

戦時中・戦後間もない日本において、女性が洋画家の道を進むのはたやすいものではなかったはずです。

しかも夫の好太郎が急死し、節子は29歳で3人の子どもを持つシングルマザーに。

他の男性とも別居のかたちをとったうえで再婚(のちに離婚)したことも。

困難や苦労は承知のうえで、自分の道を進んでいたと思います。

 

うまくいかないことや、やりきれないことをつつみかくさずに。

底知れぬエネルギーを作品から感じたのは、節子自身が心情をそのままカンバスに載せていたからかもしれません。

 

 

天井が高く、あたたかな陽の光につつまれた美術館ロビー。

2階にある展示室では、時期によって特別展・企画展を開催しています。

私が訪れたときは展示準備中でしたが…

こちらは三岸節子作に限らず、幅広いジャンルの作品を展示します。

 

今後の特別展予定

 

次回は2019年1月19日から、開館20周年記念特別展「美人画 培広庵コレクション展」を開催予定です。

日本有数の美人画コレクター・培広庵所蔵の作品をいくつも紹介するとあって、かなり見ごたえのある展覧会になりそうな予感が。

美人画を鑑賞していると、きらびやかさの中にあるはかなさに、ぐっと心を引き寄せられるんです。

次に訪れたときこそは、特別展も楽しんで帰りたいと心に誓っています(笑)

 

まとめ

 

 

しばらく美術館から遠ざかっている人も、三岸節子をはじめて知った人も。

とくに「美術ってなんだかむずかしくて、ハードルが高いなあ」と思っている人におすすめしたい。

むずかしさよりも、純粋に、色彩やモチーフそのものを楽しめる作品がほとんどです。

 

家族向けのイベントや鑑賞会も開催しているので、気になる方は公式ホームページをチェックしてから、足を運んでみてください。

 

一宮市三岸節子記念美術館

【住所】一宮市小信中島字郷南3147-1

【電話】0586-63-2892

【開館時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)

【休館日】

月曜日(祝祭日・振替休日の場合、その翌日)

祝日の翌日(土曜・日曜日の場合、開館)

年末年始(12月28日~1月4日)

展示替え等による整理期間

【観覧料】
コレクション展(常設展):一般320円、高大生210円、小中生110円。
一宮市内の小中学生および一宮市内の満65歳以上で住所・年齢を確認できる公的機関発行の証明書等を提示された方、身体障害者手帳・戦傷病者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳を持参の方(付添人1人を含む)は無料。
20名以上の団体は2割引き。
特別展・企画展は別途。

【公式ホームページ】http://s-migishi.com/