こんにちは。「Sketch」ブログ担当のライター、カジヤマシオリです。
一宮市内で取材を始めて、はや2か月。
一宮市にお住まいのみなさんに教えたい「人」ができました。
それは、一宮市で生まれ育ち、名誉市民にも選ばれた「三岸節子」いう女性画家です。
三岸節子って?
1905年、愛知県中島郡(今の一宮市小信中島)生まれの画家。
1994年には、女性洋画家として初の文化功労者に選ばれています。
複数の色を自由に組み合わせ、枠にとらわれない作品を残しました。
生涯を通して、花や風景を描くことが多かった画家です。
彼女の作品を収集し、展示する美術館が、一宮市内にあります。
それが「一宮市三岸節子記念美術館」です。
美術館の入り口に、三岸節子の銅像が立っています。
すぐそばには、イタリア・ヴェネツィアの運河を思わせるような水路が。
節子はフランスで暮らしていたころ、ヴェネツィアを訪れ筆をとったこともありました。
彼女の人生を少し知ったなら、さっそく、館内へ入ってみましょう。
コレクション展(常設展)「節子を詠む」
彼女の作品をじっくりと鑑賞するために、1階のコレクション展(常設展)へ。
このときは「節子を詠む」というタイトルのもと、約30点の作品を展示していました。
入り口でチケットを見せたあと、まず私を出迎えてくれた「自画像」。(右端)
三岸節子、自ら20歳の頃を描いた作品です。
少しあどけなさが残っているような印象です。まなざしはしっかりと、こちらをとらえています。
自画像の両サイドから広がるようにして、三岸節子の手掛けた作品がずらりと並びます。
20代前半の若さにあふれる作品から、生命力とありあまるエネルギーをぶつけた晩年の作品まで。
彼女の画家人生に触れるには、ぴったりです。
とくに、私の目を惹いたのは、「花」を描いた作品たち。
同じテーマながら、ひとつとして似通ったものはありません。燃えたぎるような赤い花も、まっさらな白い花も描いています。
はっきりした赤が真っ先に目に飛び込んできたので、節子自身は赤い花を好んでいたものだとつい思っていました。
しかし、実際は白い花のほうが好きだったようです。でも、白を基調に描くと、色で濃淡をつけるのは難しい。
作品を通して「白い花は描くのが難しい」と悩みながら描く様子を、ふと思い浮かべてしまいました。
作品の展示のそばには、訪れた人々がしるした短歌が。
美術館や節子本人、作品に対してのイメージを「短歌ポスト」で受け付けています。
平成19年以降、半年ごとに優秀作品の発表を行ってきました。美術館の開館20周年を記念し、「節子を詠む」というテーマのもと、今までの優秀作品とともに作品を展示しています。
老若男女問わず、節子や作品に対して素直な感情を表現しているものが多かったです。
何を受け取るかは、人それぞれ。
もちろん、この展示を見たあとに、ひとつ短歌をしたためるのも。
展示室内に応募用紙を用意しているので、楽しんで鑑賞してみては?
一宮市三岸節子記念美術館のコレクション展(常設展)は、年に4つのテーマに合わせて展示作品を入れ替えています。
2019年1月14日までは「節子を詠む」、1月16日からは「春を祝う」のテーマにあわせ、作品を選りすぐって展示しています。
一度訪れたことがあっても、次はまた別の作品に出会える新鮮さがあります。
美術館の見どころは、作品の展示だけじゃありません。
後編では、三岸節子の人生や作品について、より理解の深まる展示を紹介します。
一宮市三岸節子記念美術館
【住所】一宮市小信中島字郷南3147-1
【電話】0586-63-2892
【開館時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】
月曜日(祝祭日・振替休日の場合、その翌日)
祝日の翌日(土曜・日曜日の場合、開館)
年末年始(12月28日~1月4日)
展示替え等による整理期間
【観覧料】
コレクション展(常設展):一般320円、高大生210円、小中生110円。
一宮市内の小中学生および一宮市内の満65歳以上で住所・年齢を確認できる公的機関発行の証明書等を提示された方、身体障害者手帳・戦傷病者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳を持参の方(付添人1人を含む)は無料。
20名以上の団体は2割引き。
特別展・企画展は別途。
【公式ホームページ】http://s-migishi.com/