㊙神主さんの日常
― 一宮市のご出身なんですか
いえ、僕は関東の人間で16年前にこっちに流れてきて、地元の方と結婚しました。奥さんは一般の方で、結婚して10年たちますが、今だに神社で何をやっているのか分かっていないと思いますよ。
―なぜ、関東から一宮市に?
東京の國學院大学で資格を取ったんです。僕、家が神社でもなんでもないんですが、そういう勉強をしたいと思って大学で学びました。だから、神主になろうと思って入ったわけではないんです。
家が神社でなくても神社で仕事ができると聞いたので、じゃあやってみようかなと思って。学校出るときに知人の紹介して頂いたのが真清田神社でした。選ぶ余地もなくこっちに流れてきました。
―真清田神社には今神主さんはどういう構成で?
神主が15人、巫女団が7~8人、事務員さん用務員さんを入れると30人ほどになります。シルバー人材センターの人も随時清掃をお願いしています。熱田神宮さんを大企業だとすると中小企業レベルです。
毎年採用しているわけではなく欠員が出れば補充します。定員が決まっている神社もそうでない神社もあります。真清田神社は決まっておらず、その時の経済状況に応じて採用します。しかし神社も以前ほど景気が良くないので余剰人員を抱える余裕はあまりないと思います。
―中小企業という事でしたが部署もわかれていたり
総務課もあれば経理課もあります。
僕は宣徳課に属しています。マスコミ対応ですとか、宣伝、広報、強化活動をしています。今日も午後から小学3年生が遠足に来て子ども相手にお話ししたりしています。
1人に1つ机とパソコンがあり、神社は宗教法人ですから、基本的に収入源としてはお賽銭や普段のご祈祷や宮参り、お守りやお札を出してお金を受けることです。神社は物品売買をしないので売るとか買うとか商品扱いはしないのでこういう言い方をします。
― 一日神主さんはどのようなお仕事をされているんですか?
スーツを着てネクタイを締めて出勤します。そういう決まりになっています。意外でしょう?だから僕なんかはスーツで車できて、白衣を着る前にお湯で体を清めて着替えます。
8時半から朝拝を行って、今日だとすぐに机の仕事を始めて10時まではデスクワークをやっていました。連休中に写生大会があったのでその名前だとかの作品入力をしていました。この取材後は、13時から小学生が来るので小学校について調べて何を話そうかろいろ考えています。
後は、ちょっと空きがあると銀行とかにお金をおろしに行くこともあります。スーツを着て銀行に行って神社戻って清めて着替えています。夕方スーツを着ているとそのまま作業をやって帰ることもあります。うちは5時までなので、5時になると巫女さんたちも帰ります。
―昇進もりますか
有ります。基本的に年功序列なので、袴の色とかそういうので少し変わってきたりすします。
水色の上が紫、見習の時は白、真清田は2年間は白です。
ボーナスも出ます。年に2回。残業代は出ないですが
―土日休みなのですか
大体平日に交代ですね。土日休めるのは月に1回か2回くらい。土日祝日はかき入れどきから。全国に先駆けて最近増えるようになったんですけど。今はどこの神社も休みが増えるようになってきました。やっぱりいろいろ労働基準もありますし。
神社には24時間誰かが社務所に人がいるようにしているので、宿直があります。僕は月に5回あるんです。夜でもお参りに来る方もいますし、防犯の面もあるんですよ。一応警備会社も入っているんですけど、神社とセキュリティーって難しいんですよ。門を閉めると地元の人が怒るので、俺たちの寄付で建てたんだと。神社の公共性の部分考えると、みんなの物、地域・社会の物、地域住民にそっぽ向かれちゃうと神社もやっていけない。
長い神社の歴史の中で、僕たち職員がここにいる時間なんてあっという間です。大学出て新卒でポンとはいって、僕ら65歳が定年ですから43年最長で入れるわけですよ。1000年の歴史の中で高々43年ですよ。僕ら神主には頭下げなくてもいいので、ご先祖様の心根とかそういうものに頭こうべをたれてほしいなと思います。神主だからって全然えらいわけでもなんでもないです。